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20168/2

読みました:日本の画家・林武の『美に生きる』

林武の1965年の著書『美に生きる』という本を、縁があって手にしました。

林武は東京芸術大学教授にもなられた日本の画家です。副題は「私の体験的絵画論」ですが、彼の生い立ちと絵の制作との関わりや研究や悟りなどを通じて、誰でも参考になることが書かれていました。明治生まれで、並大抵の苦労ではない中で、大正末期から絵一筋にやってこられた方です。Wikipediaでは「体調を崩して」とだけありますが、本を読む限り普通の状態ではないと思われます。

林武の行き着いたところは、
すべては努力である=無我=絶対謙虚=幸福とは他を生かすこと=個即全。
無我をもって義務のために努力をし続けていると、あるとき義務を超え、自分の欲するとおりの仕事をして全体もまた活きるという自由の世界がまっていて、本当の幸福がそのときにくる。

上手くいかないとすぐに「ダメなのではないか」と気落ちする私のような者は、彼の爪の垢を煎じて飲まなくてはならないと思いました。欲もありますし、理屈ではわかっていても、なかなかできることではありません。欲を捨てるを実際にやり遂げた人のひとりが林武なのです。

本のあとがきの副題に『妻にささげる』とあります。ずっと奥様を女神と称されていますが、この奥様がすごいんです。

僕は絵を描く以外に、なんにもできない。趣味と呼ぶようなものは、一つもない。・・・・生涯において、ついに僕には絵を描く以外になにかする余裕はなかった。・・・・まったくわからない画学生の僕と結婚して、経済的にも精神的にも、おそらくふつうの女性では絶えられない生活を乗り切ってくれたのである。・・・・「林はかならず日本一の画家になる。」という信念を失うことはなかった。・・・・

生きるということに一度でも立ち止まったり躓いたり悩んだりしたことのある人には特に、とても勇気をもらえる本だと思います。

 

絵について少しばかり。岸田劉生、セザンヌ、ピカソなどについての研究をしていたことが本に書かれています。東郷青児とは小学校の同級生だそうです。

原色の絵の具をたっぷりと使った油絵で、女性・バラ・富士山が多く特徴的です。検索するとわかりますが、左右対称ではない裸体や、黄色い顔の婦人、遠近感が写実でない静物など色々あって面白いです。

横向少女

横向少女

例えば人物は首が長いものもありますし、目が4つあるものもありますが、見ているとこれでいいんだと思うので不思議です。なぜそうなるのかは本にも少し書かれていますが、残念ながら未熟なので現段階での私ではコメント不可能です。
この記事のアイキャッチにした写真に写っている画集や本の表紙の絵は3枚ともすべて林武のたくさん描かれている富士山の一部です。

小さい頃から両親に連れられ、お盆のころに本籍の祖父母の住んでいる岡山に行くと、必ず倉敷の大原美術館に行きました。そこになんと第1回毎日美術賞をとった『梳る(くしけずる)女』があるというのですが、悲しくも記憶にない。。。大原美術館のコレクションに記述が。。。岸田劉生の麗子像は記憶にハッキリあるのですが、いつも出ているのではないのかもしれないので、次に行ったら確かめようと思います。

梳る女

梳る女

林武 所蔵美術館 これを見るとほとんど東京ですね。

 

ちなみに、わかっているだけで林武の画集は以下の6つです。

入手済:『林武』 美術出版社、1961年
入手済:『日本の名画48 林武』 講談社、1973年
入手中:『アサヒグラフ別冊 林武 その人と作品』 朝日新聞社、1975年
入手中:『現代日本の美術9 海老原喜之助・林武』 集英社、1976年
未入手:『林武画集』 青年社、1988年
入手中:『林武全画集』 日動出版部 、2004年

著書は2冊です。

入手済:『美に生きる — 私の体験的絵画論』 講談社、1967年
(1965年版に林が自選した21点の絵画図版を加え、全文を正かなづかい表記にした特装版)
入手済:『国語の建設』 講談社、1971年

コレクターっぷり発揮です。

林武自画像

林武自画像

ほとんど自画像を描いていないので、この自画像はとても貴重なのだそうです。
すべて画集をiPhoneで写したのでゆがんでしまって。。。

パステル画も描かれているのですが、探してもなかなか見つかりません。入手済の画集に載っているのはすべて油絵でした。入手中の『林武全画集』に期待しています。
何かの時に手に入れたのか、ずっと持っているパステル画材があったので、画集のバラの絵を見ながら描き始めました。エネルギッシュな画風に改めて感動しています。

 

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